ご挨拶

類い稀なる映像詩『アンモナイトのささやきを聞いた』に映画館で出逢ってから30年。
あの時のふしぎな余韻が忘れられなくて、もう一度みてみたい!、
スチルだけでも気になっていた映画、みてみたい!、
というもどかしい声が国内外あちこちから聞こえてきていました。

私たち企画者も、観客として通っていた製作元のユーロスペースや関係者の方に、何度か上映やDVD化の希望をお伝えしたこともありました。しかし、過去15年くらいの間、前提となるフィルムのデジタル化がハードルとなって、「いつか、できたらいいですね」、という夢物語で流れてしまっていました。

DVDという媒体も時代遅れと言われる動画配信が主流の世になって、パンデミック中に30周年記念企画が立ち上がり、ようやくデジタル化が実現する運びとなりました。

山田勇男監督の映画支援のために過去に寄付して下さった個人資金の一部が元手になりました。しかし、デジタル化費用が予算を超え、商品化は簡単ではありませんでしたが、30周年記念特別版「DVD書籍」として限定300部を刊行いたします。

美しく甦った1992年の作品だけでなく、『アンモナイトのささやきを聞いた』の過去・現在・未来が新しくこだまする一冊となっています。

この度、デジタル化とDVD・書籍化の費用を補うため、特別な予約販売させて頂くことになりました。

ぜひ、この特典予約を通して、本企画をご支援いただき、そして山田勇男監督の新作への意欲を応援して下さい。

(企画者YHI)


*店頭販売は、催事会場や委託店舗にて適宜行っていく予定ですが、特典付き販売は、当サイト限定になります。

各コース案内

特典内容は予告なく変更する場合がございますので、お申込みの際にご確認下さい。

将来の上映会や関連イベント時、新コースが追加される場合もあります。

作品紹介

1992年/ユーロスペース製作

カラー/35ミリ/70分/デジタルマスターリング版 

1992年度カンヌ国際映画祭批評家週間選定作品

宮澤賢治と妹トシの絆を幻想的に解釈した映像ファンタジー。
鉱物学者の助手を務める兄「私」のもとへ、病床の妹から螺旋模様の手紙が届く。それは、少年の私が妹に宛てたものだった。

現実と虚構の彷徨する5つの夢の旅。オール北海道ロケーション。フィルムに刻まれた夢の断片。異色の出演者達が醸し出す不思議な気配とサイモン・ターナーの音楽の情感が「ものがたり」を紡いでいく。

登場人物

兄(私)=サエキけんぞう/鉱物研究家。宮沢賢治のイメージを投影

妹=石丸ひろ子/病気療養中。賢治の妹トシのイメージを投影

少年=藤田哲也/子供時代の兄=私のイメージ

少女=押部麗奈/子供時代の妹のイメージ。

老人=一原有徳/放浪の幻燈屋。幻想の中の老いた未来の私

教授=木村威夫/兄の大学研究室の教授。兄の夢に鍵を与える

母=橋本一子/幻想の中の若い母親

翅の子供=押部麗奈

作業員=花輪和一/鈴木翁二/森雅之

スタッフ

監督:山田勇男

脚本:山田勇男

製作:堀越謙三/ユーロスペース

プロデューサー:山崎陽一

撮影監督:麻生知宏

編集:浦岡敬三

音楽:サイモン・ターナー

幻燈画:鈴木翁二

助監督:井上哲 田村拓

衣装:野呂牧子

ヘアーメイク:諸橋みゆき

美術:吉田ひでお 佐々木秀明

制作進行:金井孝次

制作:根本奏成 寺西冴子 波多野ゆかり 青山貴 山田めぐむ 帯野郁乃

スチール:伊藤博人

記録:工藤瑞穂 進藤良彦

挿入画:森雅之

山田勇男プロフィール

北海道生まれ。
74年、演劇実験室天井桟敷に入団。寺山修司監督作品映画の美術・衣装デザインを担当。77年、札幌にて漫画家・故湊谷夢吉らと銀河画報社映画倶楽部を結成。稲垣足穂の「一千一秒物語」をモチーフに製作した処女作『スバルの夜』以来、現在まで8mmフィルム作品を中心に100本を越えるアート・フィルムを制作。気配・影などの〝ゆらぎ〟、そして夢と現実の〝はざま〟を写し取る、詩的な映像世界を紡いでいる。独自の世界観を持った映像は国内外で評価が高く、フランス(パリ、ブザンソン)、ドイツ(オーバーハウゼン映画祭)、スウェーデン(ストックホルム現代美術館)などで特集上映が組まれ、作品は海外の美術館や大学に収蔵されている。

劇場映画の監督作品は、『アンモナイトのささやきを聞いた』(1992, カンヌ国際映画祭招待)、つげ義春原作『蒸発旅日記』(2003)、『シュトルム・ウント・ドランクッ』(2014)。一方、漫画家、装丁家としての顔も持ち、「ヤマヴィカ製文字」によって独特な世界観を紡ぎ出す。山田勇男についての書籍は『夢のフィールド』(1992)『星のフラグメント』(2003)、『ヤマヴィカ宇宙学』(虹霓社/2014)自身の著作には漫画集『戯れ』(2008)、細密ペン画集『人魚』(2013) 、2022年にアメリカで英語翻訳出版された『白い夢』(虹霓社/ 2018)などがある。

★略歴
1974年 寺山修司監督『田園に死す』(疑景工作)に参加。映画への目覚め。
1977年 寺山修司監督『ボクサー』美術協力
1979年 寺山修司監督『草迷宮』美術
1982年 寺山修司監督『さらば箱舟』衣装デザイン
1992年 『アンモナイトのささやきを聞いた』【ユーロスペース】◎カンヌ国際映画祭批評家週間招待
2000年 『月球儀少年』【札幌映画祭製作実行委員会】◎オーバーハウゼン国際短編映画祭出品、買い上げ(ドイツ)
2003年 『蒸発旅日記』【ワイズ出版】
2004年 第50回オーバーハウゼン国際短編映画祭で特集プログラムが組まれる
2014年 『シュトルム・ウンド・ドランクッ』【シュトルム・ウント・ドランクッ製作委員会】

★国外の足跡
1992 (フランス) 『アンモナイトのささやきを聞いた』【ユーロスペース】◎カンヌ国際映画祭批評家週間招待
2000 (ドイツ)『月球儀少年』【札幌映画祭製作実行委員会】◎第46回オーバーハウゼン国際短編映画祭出品買上に
2004 (ドイツ) 第50回オーバーハウゼン短編映画祭で日本人として初めて特集上映が組まれる  
2004 (スウェーデン)ストックホルム現代美術館Hommage á Meret Oppenheim:Installation/performance に招聘参加
2006 (ドイツ) 『フラギリテート』第52回オーバーハウゼン短編映画祭入選
2015 (ドイツ) 『記憶』第61回オーバーハウゼン短編映画祭入選・買上
   (スウェーデン) ストックホルムにて個展
   (フランス)8ミリフィルム50周年 ニース映画祭招聘
2016 (ドイツ)トリア大学にて講演会
   (フランス)パリ実験映画工房(L'ETNA)にて特集上映
2017 (ルクセンブルク)国立フィルムセンターにて『シュトルム・ウンド・ドランクッ』上映・トーク
2019 (フランス)ナンシー国際映画祭短篇部門審査委員
2020 (フランス)ナンシーにて個展
2021 (フランス)ナンシー国際映画祭にて特集上映

2022 (ドイツ)ベルリン市立図書館にデジタル化された8mm/16mm作品の全DVDが収蔵される。

2023 (フランス)パリにて個展

★公式HP:www.yamavicascope.com